1月10日は110番の日!あらためて考えたい防犯対策。

1月10日は110番の日です。
日本の警察への緊急通報用である電話番号「110番」の正しい使用を推進するために、警察庁によって1985年12月に制定されました。
今回は前回に引き続き、あらためて侵入犯罪の怖さと防犯対策の大切さについて知っていきましょう。
Contents
侵入犯罪とは?
侵入犯罪とは、住宅などの建物に侵入して金品を盗んだり、家人を脅して金品を強奪したりする犯罪のことをいいます。
侵入犯罪のうち、一般住宅をねらう「空き巣」「忍び込み」「居空き」を特に住宅対象侵入窃盗といいます。
「空き巣」とは、家人などが不在の時を狙って屋内に侵入し、金品などを盗むことをいいます。また、「忍び込み」とは、夜間に家人などが就寝した時を見計らって住宅内に侵入し、金品などを盗むことをいいます。
「居空き」とは、家人などが昼寝や食事をしているすきに住宅内に侵入し、金品などを盗むことをいいます。
侵入犯罪のデータ
侵入犯罪の件数は、平成8年から平成14年までは増加傾向にありましたが、平成15年からは減少傾向に転じ、令和元年では戦後最小を更新しています。しかし、侵入窃盗の認知件数は2万8,936件も発生しています。
また、1日当たりの発生件数は79件となっていて、未だに多くの住宅被害があることがわかっています。
侵入窃盗のデータ
侵入窃盗の発生場所については、一戸建住宅が43.9%と最も多く、次に一般事務所の13.1%、共同住宅(3階以下)が10.7%と続いています。
侵入窃盗の検挙件数や検挙人員は、平成15年以降は認知件数と比例して減少しており、令和元年の検挙件数や検挙人員は前年よりも5.5~6.9%減少しています。
侵入強盗のデータ
侵入強盗の認知件数は、平成16年以降減少傾向にあり、令和元年には461件と前年よりも20%ほど減っています。また、住宅を対象とした侵入強盗も平成17年以降は減少傾向にあります。特に令和元年は161件と、前年よりも8.5%減少しています。
侵入強盗の発生場所の認知件数では、商店が46%で最も多く、一戸建住宅が20.2%、生活環境営業が13.4%と続いています。
また、侵入強盗の検挙件数や検挙人員は、平成21年以降は減少傾向にあり、令和元年の検挙件数は402件で前年よりも19.3%減少し、検挙人員は475人で前年よりも12.8%減少しています。
侵入犯罪に使われる器具
侵入者は色々な器具を使って、さまざまな方法で建物に侵入しますが、侵入者が帰宅した家人に見つかった場合は、強盗に変身することもあります。その場合、それらの器具が凶器に変わることもあります。
侵入者が建物に侵入する際に使われる器具には、バール、ドライバー、電気ドリル、パイプレンチ、ウォータープライヤ、ニッパ、ガラス切り、金槌という一般的な工具類があります。また、建物に侵入する際の解錠専門器具には、ピッキング用具や破壊用シリンダー回し、鍵穴壊し専用のホールソーやホールソーシリンダ、サムターン回しといったものがあります。
ピッキングによる犯罪とは?
ピッキングとは、錠前を鍵を使わずにまた、錠前を破壊せずに解錠する行為をいいます。ピッキングの道具は、鍵のトラブルに対して有効なものですが、だからといって自分で所持することは現在では法的に禁止されています。
鍵屋の業務を行っている人以外が、正当な理由なしでピッキング道具を所持することは、「1年以下の懲役」もしくは「50万円以下の罰金」を科せられます。
ピッキング道具には、特殊解錠用具と一般解錠用具に分けられますが、特殊解錠用具は複雑な機構をもつ用具や針金状のシンプルな用具などピッキングを行うために作られた専用の用具のことです。
また、一般解錠用具は鍵を開けるための工具ではないものの、建物内に侵入できてしまう工具のことで、以下のような道具が該当します。
・幅0.5センチ以上で、全体の長さが15センチ以上のマイナスドライバー
・長さ24センチ以上で、作用する幅が2センチ以上のバール
・直径1センチ以上の刃が付属するドリル
それらは、不正侵入を行う目的がない場合でも、犯罪の未然防止として携帯が規制されている道具です。また、自宅の鍵が開かないからといって、一般の人がピッキング道具を購入して解錠することはできません。つまり、一般の人が道具を使ってピッキング行為は、たとえ自宅の錠前でも許されない行為となっています。ですから、鍵が開かない場合などは業者に依頼するようにしましょう。
ピッキングによる侵入犯罪の認知件数は、平成13年以降は激減していますが、その要因としては鍵の性能が上がったことが考えられます。また、鍵の進化に加えて多くの人が危機感を持った防犯対策を行っていることも、被害の減少につながっているといえます。
サムターン回しの手口とは?
サムターンとは、玄関ドアの室内側にあるつまみのことをいい、親指(サム)でつまんで回すことから、その名前がついています。サムターン回しとは、このサムターンを外側から強引に操作して建物内に侵入する手口のことです。
サムターン回しは、ドアにドリルなどを使って穴を開け、特殊な工具などでドアの内側のサムターンを回転させてロックを外します。この場合、ディンプルキーや電子錠などピッキングではなかなか開けられない錠前でも、ドアに穴を開けることで建物に侵入されてしまいます。
サムターン回しによる侵入経路としては下記のようなさまざまな物があります。
・ドアの側面や上部の隙間を利用する
・ドア近くの窓ガラスを壊す
・ドアについている郵便受けを利用する
・ドアスコープを壊す
このようにドア周辺のあらゆる隙間などが、サムターン回しの標的となっていることが分かります。また、ドリルを使ってドアに穴を開けてサムターンを回すといったものまであり、その手口は巧妙で、凶悪化しています。
サムターン回しによる空き巣被害は、平成16年以降は減少傾向にありますが、以前は多かったピッキングによる被害よりも多くなっています。
サムターン回しの防止対策
サムターン回しの防犯対策として、まず補助錠の設置が効果的です。あるデータでは侵入に5分以上かかると約7割の侵入者はあきらめるといわれています。補助錠をつけることによって1ドア2ロックになりますから、侵入するための時間が長引いて犯行をあきらめさせる効果があります。
▲鍵穴の無い電子錠に交換することも有効。(写真はイージスゲート)
ただ、マンションなどは持ち家とはいえ、玄関ドアの外側は共有部分となっていることから、勝手にドアに穴を開けたりはできません。その場合、管理組合に確認して許可を得る必要がありますが、許可が得られない場合もあるでしょう。
そんな場合には、サムターンカバー(サムターンガード・サムターンキャップ)というものがホームセンターなどで市販されていますから、自宅のサムターンに合った保護カバーを選んで取り付けることもできます。
また、貸家の場合でも大家さんに許可を得る必要がありますが、もし許可が得られない場合はやはりサムターンカバーを利用することで、防犯対策となります。
実際に侵入犯罪に遭った場合の対応とは?
侵入犯罪の被害に遭った場合、何か盗まれていないかなど被害状況が気になりますが、まずは110番通報をして警察に来てもらいましょう。そして、ここでまず注意したいのが、家の中にまだ空き巣が潜んでいないか、ということです。家の中を探し回らず、家の外に出て周囲に注意しながら警察に通報することが大切です。
110番通報したあとは、警察官の到着を待ってできるだけ家の外の人通りのある場所で待つようにします。大事なものを盗まれていないかを確認したい気持ちも分かるのですが、家の中を動き回ることで犯人の痕跡が消えてしまうことになりかねません。ですから、室内のものには触らずに警察が来るまで待つようにします。
警察が到着したあとは、落ち着いて被害状況などを確認し、警察から「盗難届け証明書」または「届出受理番号」を交付してもらいましょう。
あってはならない侵入犯罪、減少傾向とはいえまだまだ多くの住宅が被害に遭っている世の中です。
被害に遭う前に今一度、自宅の防犯対策を見直してみましょう。
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